遺言

遺言(ゆいごん)とは

自分の死後、残った財産(遺産)の処分方法などを言い残す手段です。その内容は、死んでいく人の最後の意志表示(WILL)です。自分の財産は原則として、いつでも自由に処分できます。これは、死後も同じです。遺産をどう処分するか、遺言を使ってその処分方法を決めておけます。


ただし、所定の要件を満たしていなければ無効になるので注意が必要です。遺言書の内容は、原則として法律で定められた相続の規定よりも、優先されることになります(ただし、遺留分*1の制限はありますが、遺留分を侵害する遺言でも法的には有効です)。

遺言書を残しておく必要性

たしかに、遺言がなくても、法律(民法)の規定に従い財産を分けることはできます。法定相続や遺産分割協議で整えば良いのですが、どんなに仲が良い家族でも、最近は、権利を主張する時代になってきたので実際に財産をもらえるとなったときに、全員の利害が一致し円満に協議がまとまるとはかぎりません。

 

また、何年、何十年後先に家族の状況がどうなっているかは誰にも分かりません。また、意外にも直接の相続人でない関係者が、入れ知恵をしてくることも多いのです。そのようなことが起こると、協議は泥沼化し、裁判争いにまで発展し、解決までに長期化することも考えられるのです。

 

遺産分割がまとまらないと、財産を共有でもっているので、預金の引き出し、株式の売却、不動産の売却もできませんし、相続税の軽減の特典も受けられません。近年では、裁判所での遺産分割事件は、平成8年に1万件の大台を突破して以来1万2千件前後で推移し、昭和30年当時の約4.6倍 にもなっています。

遺言のススメ

  • 自分の死後に財産を巡るトラブルが起き、家族が仲違いになることを望む人はいないはずです。
    財産の処分方法を含めて、この世に残される人に対して、何らかのメッセージを残してみませんか。
  • 遺言は何回でも取り消し、書き直すことができます。
  • 特に遺言を書いた方が良いと思われる方
  1. お子さまがいらっしゃらない方
    兄弟姉妹には、遺留分がありませんので、ご両親がなくなっている場合は、遺言で全ての財産を配偶者に残すことが可能です。
  2. 籍は入れていないが内縁関係にある事実上の夫婦
    法律上配偶者でなければ相続権はありませんが、遺言を遺すことにより内縁関係にあるパートナーに財産を遺すことが可能です。
  3. 会社経営者の方
    株式を多く所有している経営者(社長)の株式を分散させず、事業用財産を含めて後継者に相続させることにより経営を安定化することが可能です。
  4. 再婚された方
    離婚や亡くなられた配偶者との間に子があり、再婚した配偶者との間にも子がある場合、遺産分割協議において感情的な問題が起こりが ちです。遺言を残しておくてことによりトラブルを回避できます。
  5. 相続人がいらっしゃらない方
    遺産は、家庭裁判所で認められた特別縁故者に分与されるか、国庫に帰属することになります。特定の人に財産を残してあげたい場合は、遺言が必須です。

遺言の種類

公正証書遺言

方法 証人2名以上の立会いのもとで、遺言者が遺言の内容を伝え、公証人が遺言を作成する
長所 ・内容が明確で、証拠能力が高い
・無効になる可能性が低い
・紛失のおそれはない(原本は公証役場で保管)
・家庭裁判所での検認手続が不要
短所 作成費用がかかる(財産の額により異なる)
打ち合わせなどの手間と時間がかかる

 

自筆証書遺言

方法 遺言の全文、日付及び氏名を全て自書し(パソコン・ワープロ厳禁)*2、名前の横に押印する
長所 費用がかからない
作成が簡便
遺言内容・遺言の存在を秘密にできる
短所 偽造、紛失、改ざんのおそれがある*3
形式相違で無効になるケースが多い
不明確な内容のために遺言の内容を実現できない
家庭裁判所での検認手続*4が必要

結論

トータルで考えると、お金で安心を買うという意味で、多少費用は高くつきますが、公正証書遺言がお勧めです。実際、平成30年の作成件数は、11万件強と、過去10年間で1.4倍程度増えています。参考までに自筆証書遺言の検認件数は、17.487件となっております。当事務所では、遺言の内容をお伺いし原案を作り、公証役場での打ち合わせ、また、戸籍集めも含めてお受け致しております。ずは、お気軽にご相談下さいませ。

リンク

*1 遺留分:法定相続人が最低限相続できる割合のこと。ただし、兄弟姉妹にはありません。

*2平成31115日より「財産目録」に関しては、自署しなくてもよいことになりました。

*3令和2710日より法務局での遺言書保管制度開始。
*
検認手続:証拠保全手続き。時間・費用がかかるのと戸籍集めが手間。ただし、法務局の遺言書保管制度を利用する場合は不要。